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2008.09.29第5回 竹中平蔵政経塾「社会保障の今後を考える」

Hii主催 竹中政経塾第5回開催 「社会保障の今後を考える」

日本の未来を考える「竹中平蔵政経塾」第5回が開催されました。
『真に豊かな社会を目指して"日本のあるべき未来"をともに描く』をテーマに、当社特別顧問である竹中平蔵氏と毎回異なるテーマ、ゲストをお迎えしています。

今回のゲストは、日本の財政分析の第一人者、財政学・公共経済学がご専門の慶応義塾大学 商学部教授 跡田直澄氏。
「社会保障の今後を考える」と題しお話いただきました。

物価高の中で私たちの生活はどう変化していくのか、社会保障制度の現状と解決策、後期高齢者医療制度の問題点、さらにはワーキングプアの問題など、幅広くお話いただきました。

日本はインフレなのか?

日本の消費者物価指数変化率(7月)は、2.3%上昇。主要国を見ると、アメリカ5.6%、イギリス5%、近隣諸国では、中国6.3%、韓国5.9%。他国に比べると大して日本が高いようには感じられません。これは、ガソリンや食料品など高騰しているものがあるのと同じように、大幅に値段が下がっているものもあるため、さほど高い数値は出ていないのです。

しかし、大事なポイントは、
「物の値段をインフレ組、デフレ組に分けた時に、私たちの生活必需品はインフレ組、給料はデフレ組みに入っているということ。そうすると、日本人の生活水準は必ず下がる」ということです。 また、高騰し続けるガソリン価格に対しては、「金融商品として原油が扱われることの問題点と、それ以上に石油会社の65%が国営企業だということが供給が簡単に増えない原因だ」と竹中氏は指摘されました。

公的な再分配と私的な再分配

社会保障というのは、国が介在して所得の高い人から低い人へお金を配る、公的に所得を再分配するシステムです。昭和35年、公的年金のシステムを皆年金、保険・医療は皆保険という形を作り上げ、国は公的な再分配を強めていきました。一方で、「それ以来、子供が年をとった親を扶養するといった私的な再分配が弱まってきてしまった」という現実も跡田氏は指摘します。

「保険料を払って、あとからもらえるというシステムそのものはこれからも崩壊しないが、もらえる金額がどんどん減っていくことはすでに決まっている」中で、システムをどう改善していけばよいのでしょうか。

跡田氏は、「所得のない人にはフルに支給してもよいが、65歳を過ぎてもちゃんと収入がある所得の高い人の公的な再分配の支給は切っていくというのはどうか。所得の高い人に半分税金である基礎年金を支給する必要があるのか?その代わり、所得の高い人には自分で老後の用意をしてもらえるようプライベートでの個人年金の積み立てを優遇する。公で全部面倒を見るのはもう限界だ。医療でもそういうプライベートマーケットをつくればいい。これ以上、公的な再分配を増やしていく事ができない状況で、公と私の部分をもう一度考え直さなければいけない時期にきている」という考えです。

自分の人生は自分で支える

「年金というのは本来、老後の生活を全額保障するものではない。大原則は、死ぬまでのお金は全部自分でためろということ。しかし、たとえば85歳まで生きるつもりだったのが100歳まで生きてしまった。あるいは、80歳になったら体を悪くして働けなくなったなどという『生きるリスク』をカバーするものである。年金というのはそもそも何なのかということを明確に言うのが最大のリーダーの役割なのではないか。 社会保障というのは、国民一人ひとりにとって、とても重要なものなのに、制度が複雑。今、社会保障に関することが色々ニュースになるが、社会保障制度をどのように変えたらいいのかという報道はあまりない。記録漏れといった事件しか報道していない。我々が厳しい目で『これはおかしいのではないか』『制度に問題点がある』と発言していかないといけない」と竹中氏も続けて話されました。

また、後期高齢者医療制度について、跡田氏から 「保険の上では、リスクの高い75歳以上の人を集めて保険を作ったところに失敗の要因がある。様々なリスクの程度をもった人達を集めて保険を作った方が財政的には成り立ちやすい。後期高齢者医療制度を国民健康保険の中に戻し、後期高齢者勘定を作ればよいのではないか」と話されました。

ワーキングプアの問題は本当に深刻か?

違法な日雇い派遣の発覚以降、非正規雇用の問題やワーキングプアの問題が大きくクローズアップされることが多くなりました。
しかし、問題視されている日雇い労働者は本当に増えているのでしょうか?
平成14年・19年就業構造調査の比較によると、日雇いの派遣労働者は増えているものの、日雇い労働者(パート・アルバイト等を含む)全体では、13.6%減少しています。

「若年層の正規に雇用されない労働者の問題は、キャリアコンサルティングを充実させていくのが問題の解決につながるだろう。またそれとは別に、政府の統計から見てもわかる通り、格差の問題というのは、マスコミがサンプルとして取り上げることによって世の中の緊張感が高まった。真剣に言われているほど緊張感のある問題ではないのではないか。それよりも日本全体の景気を良くするほうが大事だ」と跡田氏は話されました。

私たちが社会の大原則である自助自立の中で生活しなければならないのは当たり前のこととしても、セーフティネットである保険や年金は必要不可欠でしょう。そういう中にあって、社会保険庁の怠慢に関する議論も重要ですが、さらに一歩進んで、今日本が抱える社会保障制度の何が問題で、どうしていったらよいのかを真剣に考えていかなければならない局面に立たされていると思います。

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